愛宕山霊
今回の話は99年9月某日に今年の夏に集まりがなかった事を期に
京都の霊所“清滝トンネル”に向かったときのレポートである。
隊員プロフィール
隊長 MAD / 今回の存在はかなり希薄。それだけに客観的なものが書けたはず。
副隊長 DAT / 今回最も暴れたやつであり、今回のプロジェクトの発案者。
隊員 のりたけ / こやつのヘタレぶりが見事に出た今回の遠征。もう中年?
隊員 カズ / いつもながらのハイテンション。もう学校が始まってたりする
新隊員きりちゃん / 寡黙な人でありながら今回の運転役をかってでる。
以上・・・
五名
第五話
8月31日 京都のラーメン屋
のりたけを除くメンバーが遅い夕食を共にしている。
DAT「ダチが、タイに行った。」
一同、何を言い出すのか、DATを見る。
DAT「あー、MAD。どっかいきたいなー。」
MADはいつも無茶な事を言うDATに少々困惑。
カズ「肝試しいこうや。清滝トンネル!」
少々酒に酔ったカズが怖がりなくせに提案する。
DAT「富士山チャリンコで登りたい。」
いつもながらの神をも恐れぬ発言。
MAD「却下。」
MAD「比叡山か愛宕山くらいならええけどな」
カズ「のりたけ連れて、心霊スポットでびびらせよ。」
きりちゃん「ビール、追加お願いします。」
MAD「今年はどこもこのメンバーで遊びに行ってへんし、いいかもな」
MAD「麻雀よりか、いいやろう。」
DATもカズに同調。
きりちゃん「それやったら僕が運転するわ」
ちなみにきりちゃんは、免許取りたて(友達を乗せるのはまだ3度目らしい)
カズ「それやったら、いついく?」
カズ「土日やったら空いてるで?」
きりちゃん「僕も空いてる。」
DAT「今週、土日に決定」
MAD「明々後日やないけぇ!」
DAT「良」
こうして、清滝心霊ツアーの幕は斬って落とされた……
9月3日(曇り)
MADは不穏な風と、前日の大雨でただならぬ不安を感じていた。
トゥルルルルル……
MAD「え、6時からじゃなくて、7時から。分かった」
カズからの連絡によると、のりたけのマシントラブルにより、
計画が一時間遅らされる事となった。
PM 7:00 キリノ邸
MADとカズ到着。
MAD「お前も手ぶらかい。」
カズとDATが何ももってない事に罵声を浴びせる。
「手ぶら命じゃいー!」と喰ってかかるDAT
カズ「何か要った?」
MAD「懐中電灯くらいは持っとけよ」
あんまりな返答に力なく答える。
遅れて、のりたけ登場。
のりたけ「予想外のトラブルで……」
いつもの事なので一同、聞きもしない。
のりたけ「それより、はらへった。」
着いて早々、とぼけた事を言うやつを無視しながら、
きりちゃんのワンボックスカーへと一同乗り込むべく玄関口へ
DAT「武器でバット持っていっていい?」
「あほ!霊体にそんな物理的なもん効くか!」
と体を塩で清めながらカズが罵った
MAD「えーから早よいくぞ」
いざ出陣。
成り行き上、最後部席に乗った、MADはエンジン音と他に聞こえる、
無気味な音に不安になり、きりちゃんに聞いてみる。
MAD「この車いつから乗ってるの?」
きりちゃん「小学校のときから乗ってるから……」
少なく見積もっても、10年は立っていると聞き、さらに恐怖する。
きりちゃん「夜、走んの初めてや」
MAD「だいじょうぶ?」
きりちゃん「大丈夫ちゃう。」
カズ「OK、いっとこ」
バックミラーをほとんど見ないきりちゃんに恐れながら、
旅の安全を祈願をねがう、MADであった。
PM 8:00 清滝トンネル
途中の車内でのカズの怪談話で、
DATとカズでテンションは最高潮に達し、
後は超常現象を待つだけという中、問題の清滝トンネルへと着いた。
ライトもなく、一方通行で、左カーブ付きの出口の見えないトンネルだった。
のりたけは、お宝ハンディカメラを手に上機嫌で撮影に望み。
カズとDATは恐怖か、期待か妙にテンションが高ぶっていた。
出口の見えないカーブに恐れつつ、カーブを曲がるきりちゃん。
何事もなくトンネルを通過すると、近くのバス停留所に車を停めた。
もう、この時間はバスは来ないだろうというのりたけの判断で。
しかし、車を停めて皆、車を降りた直後バスがトンネルからやってきた。
一同、焦る。
何か言い訳を考えるDAT。
ハザードランプのボタンをを探すきりちゃん。
ハンディをまわすのりたけ。
無情にも、バスは停留所内へ入ってくる。
もう駄目かと思ったとき、バスはUターンしてトンネルへとはいっていった。
一同胸をなで下ろす。
トンネルだけでは消化不良な面々は新たな心霊スポット探しへと山道を歩いた。
民家が多々あることに近所迷惑を騒ぎ立てるDATは
川に群れているキャンプ集団を見て、
DAT「ごっつおもろそうやなぁ」
MAD「ぬしは、今日の目的を忘れたか!」
DAT「富士山、フジヤーマァー!」
切れるDAT
とりあえず一撃DATにいれるMAD。
しばらく山道を行くと、“愛宕神社”と言う看板を発見。
のりたけいわく、少し行ったところに神社があるとの事。
看板があるからそれは当たり前と思いつつ、まったく明かりのない
上り坂の参道を歩きはじめた。
カズ「なんかでそうやな」
かず・DATは上機嫌で先行する。
その後ろに、きりちゃん・MAD。ハンディを構えたのりたけが続く。
20分経過
そろそろ着いてもいいんちゃう?
誰ともなく、のりたけに聞く。
すでに疲労困ぱいで、答える事も困難なのりたけ。
のりたけ「おかしいな。もうちょっと行ったら着くと思う。」
MAD「2周目入ってたりして。」
不気味な事を言って一同を不安にさせる。
すると、少し大きめな看板が目に入った。
ここは、18丁目。(山頂は50丁)
一同仰天。
MAD「愛宕山やったんかい。」
のりたけ「だから、長いでって、いうたやん」
MAD「山やなんて一言も言うてへんかったやないけ!」
のりたけ、引く
DAT「でも、ここまで登ったから、山頂までいこ。」
こうして、知らず知らずの間に深夜の愛宕山登山が始まった。
しかし、愛宕山と分かったとたん、登山ペースはガクンと落ちた。
夜なのでもちろん周りの状態はライトなしでは全くわからず
一同「ライト無くなったら朝まで帰れへんなぁ」と恐怖する
まさに漆黒の闇、道を一歩踏み外したら崖、という場所もちらほらある
途中、湧き水地点や謎の墓を参拝したりする
のりたけ「ちょい休憩しよ」
19丁目で、休憩ついでにMADの怪談話を聞くも、大した恐怖をもよおさず、
装備の不備もあってか(水、タオルを誰ももってきてなかった。
その代わりノートパソコンなどいらん物が沢山あった)
全体の指揮は低下する一方であった、DATを除いては・・・
そんな中、先ほどからのりたけが「腹減った、しんどい」と皆にアピールしていた
息も絶え絶えののりたけを心配するカズ
とうとう20丁目、のりたけがギブアップを宣言した。
DAT「山頂までのぼるんやー、トップ・オブ・ざマウンテンンー!」
聞き分けのない子の様に駄々をこねる。
カズ「のりたけホンマにしんどそうやし戻ろうや」
「ちっ」とDAT
のりたけ「飯さえくってたらなぁ。」
相変わらずヘタレらしい発言を連呼している。
MAD「こいつホンマヘタレやなぁ」
のりたけ「もう、ヘタレでええから・・・」
DAT「うわっ、ゆーてまいよった!」
MAD「しかたない。今回は下山するか。」
DATはカズを味方に入れて、強行登頂を叫んでいたが、
のりたけはヘタレという事で納得し、下山に合意した。
下山途中
妙にテンションの高いのりたけに憤怒するカズ
カズ「なんえあいつ、まだまだ登れるやん」
DAT「ほやからゆーたやろ」
カズ「心配してソンしたわ」
その途中
DAT「うきょー」
DATの恐怖声がこだまする。
ライトに吸い寄せられた巨大餓がDATに接触し、
パーティを混乱させた。
後日語った話だと、あの旅の中で一番恐怖したのはあの時だったらしい。
なぜか、一番に車に着いたのりたけは上機嫌だった。
やはり、登山拒否はただのヘタレだったのかもしれない。
MAD「のどかわいたなぁ。」
途中にも沢山の自動販売機があったが、どれも電気が通っておらず、
喉が渇いた面々は、自販機を探しに清滝を後にした。
この時、まだ時間はPM9:00を回ったばかりだった。
END