熱波攻防戦
今回の話は98年8月某日に釣りに目覚めたカズを試すために行われたレポートである。
隊員プロフィール
隊長 MAD / カズより依頼を受け、暑いからという理由でメンバーを徴収。しかし今回は苦戦
副隊長 DAT / 暑くて最近午前中は家にこもりっきり。運動不足解消になったと思う
隊員 のりたけ / 川に原付で来るふとどき者。天誅は下るのか?
新米隊員 カズ / 桂川をなめている。DATとは古い付き合いで少しならテレパシーも使えるそうな
以上
・・・ 四名
第三話
暑い中、MADの家にあつまったのりたけとカズ
のりたけ「DATおそいなぁ」
MAD「お前が呼んで来るんじゃなかった?」
のりたけ「『寝てるから、先行っといて』って…」
カズ「奴、こうへんのとちゃう?」
MAD「DATに限って…」
カズ「それより、バス釣れんにゃろな」
MAD「おお、俺の連れもランカークラスをようさん釣っとる」
カズ「ランカーって何?」
MAD「そんなんも知らんと、バサー名のっとんのか?」
カズ「言うても初めて2ヶ月やし」と自信たっぷりに答える
MAD「偉そうにそんな事言うてんな」
ピンポーン
DAT「暑い、干される」
MAD「ごくろう、遅かったな」
壊れているDATが直るのを待って、川へと直行した
ぎらぎらと照りつける中、とりあえず前回惨敗した田んぼの方へいってみた。
DAT「って、なんで原付やねん!貴花田ぁぁ〜!」
のりたけ「しゃぁないやん時間なかったやもん」
いつものお得意の言い訳でその場を流す。
そんな問答もお構いなしにMADとカズは川へと降りた。
ザバ
MAD「おお取れてる。」
中には10匹以上のエビが勢い良く跳ねている。
前回の事もあり内心採れるか心配していたらしい。
今回持ってきた新兵器“金網ザル”が大成功で、」10分あまりで40匹ほど採れた。
DAT「うお、跳ねてる。」
カズはMADの持ってきた“カエルルアー”でがんばっていた。
MAD「そろそろ、本番いこか?」
一同「そやな」
ちょっと勿体無いと言いたげな、のりたけを尻目に邪魔になるのでエビを全部にがす。
DAT「さらば、運の良いエビたちよ」
訳の分からん事を言うDAT。
土手から上がるとDATはのりたけの原付に興味を示す。
のりたけ「乗る?」
DAT「おう、乗ったろう。」
恐る恐る跨り、アクセルをふかす。
その瞬間ブレーキが弱くウィリーするDAT
DAT『うぉ!』心の焦り
草履を履いていたため足を少々すりむくが、すぐに慣れた様子
原付をころがし、ご満悦のDAT(無免)
「天誅ぅ〜!!」原付に乗ったまま川へ突っ込もうとするDAT
「あほかぁー!!!」急いで止めるのりたけ
MAD「おらぁ、さっさと行くぞ」
河川の滝のテトラポットから川へと降りる。そして、浅い部分を通って中州へと入る。
浅いと言っても、股下ギリギリぐらいの水深。
暑いので流れは穏やかだと思っていたところも今回はなかなか流れが速く、
DAT以下全員しり込みし、思いのほか苦戦した。
特に、初心者カズは恐怖のあまり半笑いになっていた。
桂川を知り尽くしているMADが、みんなを奮い立たせ難関を突破した。
MAD「予想外のきつさやなぁ」
一同「……(閉口)」
何とか中洲にたどり着いたもののいつもは腰の高さぐらいの雑草群が
今回は頭を超える高さのジャングルに変貌していた。
DAT「うきょ〜」
MAD「道なき道を進むか?」みんなを試すかのように問うた。
のりたけ「無理や、陸の境目を行こう。」
MAD「なんじゃくものがぁ!!」
咆哮するMADをおいて、三人は進めそうな浅い所を進軍しはじめた。
MAD「俺は陸路を開く」
MADは棒切れを片手に勇猛果敢にジャングルへ攻め入った。
…十分後
MAD「トラップがきつくて前に進めん。」(トラップ:野薔薇の棘)
見ると、MADの手には痛々しい傷が何個所もあった。
その傷を見てほくそ笑むDAT
カズ「そこまでせんでええんちゃうん」と少し引く
陸路を断たれた一行は水際を行き南下した。
しかし、水際も次第に草が多くなり深くなってきた。
そんな時である。先頭に立っていたMADが叫んだ。
MAD「おおぉ、バスがおる。ルアー投げてみ」注:バスとはブラックバスと言う魚の略称
カズが急いで近づく。バスはそれを察知して逃げる。
のりたけ「見える魚は取れへんて……」
MADとカズは『これだからこいつは』と言う風な感じでその場を流した。
だが、それは水際行軍の限界地点でもあった。
MAD「これ以上はちょっと無理やな。一時、陸の開けてるところまでかえって休憩するか?」
DAT「およぐ?」
DATのボケなのかマジなのかよくわからないボケにフォローもなく一行は一時退却した。
MAD「とりあえず反対側行ってみるか?」
休憩をとった一行は、中洲の東側を攻めるのを止め、西側に行軍ルートをとった。
西側は草もあまり茂っておらず、水深も浅かった。
カズ「僕、桂川なめてたわ、こんなきついとは思わんかった」
MAD「普通の川と思ってたらやられるからな」
DAT「俺も何回もやられかけたべ」
MAD「でも、こっちのルートからやったら行けそうやな」
カズ「釣り出来る?」
MAD「そうやな」
DATはなぜか水の底の砂地の水温が低いので、とても喜んでいた。
しかし、今回の桂川はそんなに甘くはなかった。
次第に深くなる水深に苦労しながらどうにか中洲の中間点まで来た。
通称“バスの墓場”と呼ばれる湿地帯である。
一行は、その周辺で二回目の休憩をとった。
MAD「これ以上は無理やな」
のりたけも同感のようだった。
カズはちょうど良い漁場を見つけDATと釣りをエンジョイしていた。
カズ「フィッシュ・オン!」
高らかに叫ぶが釣れている気配は全くない
「ミラクル・ジムやったら『フィーッシュ!』やぞ」
わけのわからん事を言うDAT
MAD「そろそろ帰ろか?」
DAT「いややぁ〜レジェンダーを手に入れるまでわぁー!ナマズぅー!」
ダダをこねるDATをだまらせる
その時、カズが水中に何かを発見した。
それは、供養物と思われる経文だった。
MAD「さむっ!」
カズ「しゃれなってへんで」
DATですらひいている
とりあえず皆お祈りをする。
ただ一人だけのりたけはしれっとしていた。
日が西に傾きかけたころ一行は自然の驚異に圧倒され帰路に就いた。
桂川探検隊初の敗北だった。
行軍時間 3時間20分
次号予告
現在、予定なしです。
また来年の夏まで・・・
制作
本文 MAD
追加・修正 DAT