◆テトラジェネス(オペラ邸)
(窓際でたたずむオペラに歩き寄る執事)
執事アルフレッド「どうかなさいましたか、お嬢様?」
オペラ「ちょっとね。昔のことを思い出していたのよ。」
アルフレッド「お嬢様達が宇宙を救ったという、例の冒険の事ですかな?」
オペラ「そうよ。もっとも、言っても信じて貰えないでしょうけどね。」
アルフレッド「とんでもございません。」
アルフレッド「お嬢様が、嘘偽りをおっしゃるような方でないことは、このアルフレッド重々承知しております。」
オペラ「ありがとう。アルフレッド。」
オペラ「みんなは、今頃どうしてるのかしらね。」
◆テトラジェネス(オペラ邸) +エルネスト仲間にせず
(窓際で憂うつなオペラ)
オペラ「エル…いったい、どこに行ってしまったの? ずっと待ってるのよ・・・。」
オペラ「あなたの答えを…声を聞かせて・・・。」
(オペラ。うつむく)
オペラ「早く帰ってきてよ。もう、辛いの・・・。」
◆エルリアの集落
(ボーマンが住民達の傷を見ている)
ボーマン「ふむ。だいぶ良くなってるな。これなら来週には包帯が取れるだろう。」
(オペラが帰ってくる)
オペラ「ボーマン、がんばってる?」
オペラ「西の方にあったモンスターの巣だけど、だいたい倒してきたわよ。」
ボーマン「悪いな、オペラ。俺も行こうと思ってたんだが、忙しくて手が放せなくてな。」
オペラ「別にいいわよ。あの程度の奴等だったら、私一人で充分ことが足りるわ。」
ボーマン「しかし、お前さん。自分の星に帰らなくて、本当に良かったのか?」
オペラ「乗りかかった船ですもの。ここまで来たら最後までやり遂げておかないと寝覚めが悪いわ。」
ボーマン「だが、エル王国の復興は、思っていたより手間取りそうだぞ。」
オペラ「なに言ってるのよ。一ヶ月だろうが一年だろうが、ここまで来たらそんなに大差ないわよ。
オペラ「最後までつき合ってあげるわ。」
(ちょっと、顔をよそに向けて)
ボーマン「ありがとう、な。」
オペラ「あら、珍しい。お礼なんて。」
◆テトラジェネス(オペラ邸)
(窓から外を見つめる二人)
オペラ「ねえ、プリシス、私と一緒にテトラジェネスへ来て、後悔してない?」
プリシス「どしたの、いきなり?」
オペラ「あなたが頼むから、連れて来ちゃったけど時々、本当に良かったのかなって思うときがあるのよ。」
オペラ「だって、私と一緒に来るっていうことは、エクスペルを捨てるってことでしょう。」
プリシス「そんなこと、オペラが気にする必要なんかないよ。」
プリシス「だって、あたしが行くって決めたんだから、たとえ後悔したって、全部自分の責任じゃん。」
オペラ「でも。私のせいで、あなたのお父さんに寂しい思いをさせているかと思うとね・・・。」
プリシス「大丈夫。『子供はいつか、親のところを巣立っていくものだ』ってウチの親父もいってたっしょ。」
プリシス「ただそれが、ちょっと遠くに巣立って行ったってだけなんだからさ。」
◆テトラジェネス(オペラ邸)
(窓から空を見るレオン。そこへオペラが近寄る)
オペラ「あら、どうしたの、レオン?」
レオン「ちょっと、考え事をしていたんだ。
オペラ「もしかして、家が恋しくなったの?」
レオン「ちがうよ!この前の冒険のことを思い出していたんだよ。」
オペラ「ふーん。」
オペラ「そうね。あの時は色々なことがあったからね。」
レオン「みんな、元気でやっているかな?」
オペラ「ねえ、レオン、あなたエクスペルに帰りたいんじゃないの?」
レオン「なんでそんなこと聞くの?」
オペラ「だって時々、そうやって、寂しそうに宇宙を見上げているから・・・。」
レオン「確かに、寂しくないって、言ったらウソになるよ。でも、ボクはこれで良かったと思ってる。」
(レオンはにかんで)
レオン「だって、オペラさんと一緒にいられるんだから。」
オペラ「ふふふ…言っておくけど、私を口説こうなんて十年早いわねゥ」
レオン「じゃあ、あと十年…ううん。せめて五年待ってよ。」
オペラ「そうね。それくらいなら、考えといてあげるわ。」
◆紋章の森(あぜ道)
(ディアスを先頭に奥へと進む二人。そこへスティング系の敵が挟み撃ちにしてくる)
ディアス「敵か・・・。」
オペラ「囲まれたわね。」
ディアス「下がっていろ。足手まといになる。」
オペラ「冗談でしょ。この私が、あなたの背中くらいは守れるって事を証明してあげるわ。」
(二人おのおのの相手へと駆け出す)
◆テトラジェネス(オペラ邸:アングル2) 友:オペラ>エルネスト
(オペラがエルネストを出迎えに出てくる)
エルネスト「ただいま。」
オペラ「どうしたのよ。今回の発掘はもう少しかかる予定でしょう?」
エルネスト「急いで作業を終わらせたんだよ。あんまり待たせて、また追いかけて来られても困るからな・・・。」
オペラ「もう! エルネストったら。」
オペラ「そんな事はしないわよ。だって、あなたが『ただいま』って言ってくれるようになったんですもの。」
エルネスト「そうか…そうだな。ただいま、オペラ。」
(ふたり寄り添う)
◆未開惑星 友:オペラ<エルネスト
(花を見ているオペラ)
オペラ「キレイな所ね。」
エルネスト「気に入ったのか?」
オペラ「ええ。エルネストったら、急にこんな未開惑星に着陸するんですもの。何かと思ったわ。」
エルネスト「そうか、悪かったな。」
(奥へと歩いていくエルネスト)
オペラ「ちょ、ちょっと。どこに行くつもりなのよ?」
エルネスト「ん!?ああ。さっき、この星をスキャンしてみたんだが、この先に建造物らしき影が映ってたんだ。
エルネスト「もしかしたら、未知の遺跡かも知れない。」
(不満気に近付いていくオペラ)
オペラ「ねえ。一つ聞きたいんだけど。もしかして、そんな事を調べるために わざわざこの星に着陸したの?」
エルネスト「もちろんそうだが?
オペラ「別にいいけどね。どうせ、そんな事だろうと思ってはいたから。」
エルネスト「どういう意味だ?」
オペラ「何でもないわよ。」
(奥へと進む二人)
◆テトラジェネス(オペラ邸:アングル2)
(オペラが帰ってきたノエルを出迎える)
オペラ「あら、お帰りなさい。」
オペラ「どうしたの、こんな時間に。何かあったの?」
ノエル「まあ…その… いろいろと・・・。」
(小犬が出てくる)
ノエル「ははは…と、まあ。こういうワケなんですよ。」
(小犬はノエルの周りをうろついている)
ノエル「ちょっとエサをあげただけなんですけど、どうも、なつかれちゃったみたいで・・・。」
オペラ「ちょっと、また!? これで何匹目だと思ってるのよ。」
ノエル「はは… 十匹くらいですかね。」
オペラ「あのねえ。これで十七匹よ十七匹目!」
オペラ「いくら私の家が広いとは言っても、これ以上は飼えないわよ。」
(小犬。オペラになつく)
オペラ「まったくもう、しょうがないわね。今回で最後だからね。」
(オペラ手前の方を向く)
オペラ「『ヒッパー』『シェーア』『ビスマルク』『ブリュッヒャー』『エムデン』『グナイゼナウ』『シュペー』『ツェペリン』」
オペラ「『カルース』『ケルン』『ケーニヒー』『ライブ』『リュッツォウ』『ニュルン』『オイゲン』『シャルン』ちょっといらっしゃい!」
(わらわらと小犬が十七匹出てくる)
(小犬は一同オペラの方をむいている)
◆テトラジェネス(オペラ邸)
(窓際でたたずむオペラにチサトが近寄る)
チサト「どうしたの、また、舞踏会にでも行くの?」
オペラ「まあね。チサトも一緒に来る?」
チサト「冗談でしょ? あんな堅苦しい所は、チョットね・・・。」
オペラ「でも、あなたが来るのを期待している男の人も、たくさんいるのよ。」
(チサト。窓の方を向き)
チサト「悪いけどパス。そんな窮屈な服着たりしたら、息が詰まって死んじゃいそうだし。」
オペラ「そう。残念ね・・・。」
(チサト。オペラに向き直り)
チサト「ねえ、オペラ、前々から思っていたんだけどさぁ、よくそんな服を着ていられるわね。
チサト「苦しくない?」
オペラ「仕方ないわよ。一応これでも、名門ベクトラ家の当主なんですもの。」
オペラ「ガラじゃないけど、それなりの格好はしておかないとね。」
チサト「ふーん。でも。この麗しきオペラお嬢様が、あんな大きな銃をブンブン振り回してたなんて知ったら、
チサト「みんなはどんな顔をするのかしらね。」
オペラ「ちょっと、やめてよ。あの時、無断で旅に出たせいで、タダでさえ両親の監視の目が厳しくなっているのに・・・。」
チサト「あはははは、大丈夫。この話はオフレコにしといてあげるからさ。」
◆リンガ(Jean Medicine Home)
(店番中にキースがやってくる)
キース「よう、ボーマン。」
ボーマン「ああ、キースか。なんか、久しぶりだな。」
キース「どうした?まるで、何年も会わなかったかのような顔をして。」
ボーマン「いや…ちょっとな。」
ボーマン「ところで、今日は何の用だ?」
キース「あ、そうそう。あの本のことなんだが、だいたいの翻訳が終わったんで報告に来てやったんだ。」
ボーマン「あの本?」
キース「おいおい、しっかりしてくれよ。お前さん達が、この前に持ってきた古文書のことにきまってるだろ。」
ボーマン「ああ、そうか。」
キース「どうやら、あの本は古代人の神話みたいだな。
キース「遥か昔に存在した、神々の楽園についての伝説が書いてあった。」
ボーマン「楽園?」
キース「その通りだ。ただ、破損がひどくて詳しくは分からないんだがな。」
ボーマン「その楽園…もしかして、ネーデって名前じゃないか?」
キース「どうして知ってるんだ!?」
ボーマン「なんとなく、そう思っただけだよ・・・。」
◆リンガ(Jean Medicine Home)
レオン「ねえ。ラクールの研究所に戻ってくる気はないの?
レオン「王様だって、ボーマンさんが帰ってくるなら、もう一度、薬学部門を復活させてもいいって言ってるんだよ。」
ボーマン「悪いな…いくらお前の頼みでも、それだけはな。」
レオン「何でさ!?ラクールの王立研究所っていったら、世界中の学者のあこがれなんだよ。」
ボーマン「研究室の中に引きこもって研究を続けるのが悪いとは言わないよ。
ボーマン「だがな、そんな事ばかりをしていると、肝心なことを忘れちまうんだよ。
ボーマン「俺は、結果を出すだけの研究じゃなくて、
ボーマン「自分のすぐ側にいる、みんなの笑顔を守るための研究をしたかったんだ。」
レオン「もういいよ! ボーマンさんのバーカっ!!」
(レオン、駆けて表から出ていく。)
ボーマン「やれやれ・・・。
(表からニーネが帰ってくる)
ニーネ「また、レオン君が来ていたの?」
ボーマン「ああ…あいつも辛いんだろうな。
ボーマン「今のレオンの能力についてこれる奴なんて、世界中を探したっていやしない。
ボーマン「天才ゆえの孤独ってやつだろうな。」
ニーネ「まあ・・・。」
ボーマン「でも、あいつも、いつまでも子供じゃない。自分の問題は、自分で解決するだろうさ。」
◆紋章の森(あぜ道)
(ボーマンとディアスが立ち話をしている)
ディアス「いいのか、リンガに帰らなくて?」
ボーマン「ああ。十賢者たちを倒したとはいえ、まだまだ、多くのモンスターが残っている。
ボーマン「そいつらを退治するまで、騒ぎが終わったとは言い切れないだろう?
ボーマン「だから、もうしばらく旅を続けてみようかと思っているんだ。」
ディアス「なるほどな…それで、行く当てはあるのか?」
ボーマン「とりあえず、エル大陸に渡ってみようかと思っている。あそこの復興には、人手が必要だろうしな。」
ディアス「そうか・・・。」
ボーマン「そんなことより、お前の方こそどうするつもりなんだ?」
ディアス「今まで通り、適当に旅を続けるさ・・・。」
ボーマン「だったら、お前もエル大陸に渡ってみないか? あそこには、まだまだモンスターも多い。
ボーマン「お前のような男が必要なハズだ。」
ディアス「そうだな。それもいいかも知れんな・・・。」
ボーマン「よし、決まりだ! それじゃあ、行くとするか。」
(二人。歩き出す)
◆ラクール(酒場:ラクールオブラクール)
ボーマン「しかし、本当に久しぶりだな。」
エルネスト「そうだな。あれから、もう三年になるか・・・。」
ボーマン「もう少しマメに顔を見せに来てもいいだろうに。こちらから、お前を訪ねることはできないんだぞ。」
エルネスト「ははは…すまん、すまん。大学の方が、いろいろと忙しくてな。」
ボーマン「何だよ?また、オペラみたいな美人の教え子に迫られるような事でもあったのか?」
エルネスト「まあ、それもある・・・。」
ボーマン「おいおい、本当かよ・・・。」
エルネスト「実は、あのオペラに、妹がいるんだが、知ってるか?」
ボーマン「いや、初耳だが。」
エルネスト「オパールって名前の妹がいるんだよ。
エルネスト「これがまた、思いこみの強さといい行動力といい、オペラにそっくりなんだ・・・。」
(酒場にオレンジの髪のテトラジェネスが入ってくる)
オパール「あ〜っ!!エルネスト先生、見つけましたぁ!」
エルネスト「オ、オパールっ!?」
(二人に近寄るオパール)
オパール「オパールに黙って行っちゃうなんてヒドイですぅ。先生を探すの、すっごい苦労したんですよぉ。」
エルネスト「な…何で、オレがここにいるってわかったんだ?」
オパール「オペラお姉ちゃんに聞いたら、きっとこの星にいるって教えてくれたんですよぉ。
オパール「だから、お姉ちゃんのお船を借りて急いで来たんですぅ。」
エルネスト「そうか、そういうことか・・・。」
オパール「でも、でもぉ。先生が見つかってホントによかったですぅ。
オパール「着陸の時に、ちょーっとぶつけただけなのにぃ、宇宙船がぜーんぜん動かなくなっちゃったんですよぉ。
オパール「先生が見つからなかったら、どうしよーかと思いましたぁ。嘘じゃないですよぉ。
オパール「ホントに、ホントーにちょこっとしか、ぶつけてないのにぃ。」
ボーマン「こりゃまた、パワフルな姉妹なことで・・・。」
エルネスト「いいかげん、勘弁して欲しいよ。本当に・・・。」
◆リンガ(Jean Medicine Home)
(ボーマンの隣でノエルが傷を治してもらいに並んでいる患者の相手をしている)
青年「あたた…ちょっと、転んで骨が折れたみたいなんですよ。」
ノエル「そうですか、それは大変ですねぇ。分かりました。」
(ノエルが回復の呪文を唱える)
青年「あ…動く!? 治ったぁ!」
(青年帰って行く。次に並んでいた老婆が前に)
老婆「どうやら、カゼをひいてしまったみたいなんですけれどねぇ・・・。」
ノエル「あらら… それはいけませんねぇ。それでは・・・。」
(ノエルが回復の呪文を唱える)
老婆「体が軽い… ありがたや、ありがたや。」
(老婆が帰っていき、次の人が前に来る。そこへニーネが帰ってくる)
(ニーネ。行列を見てボーマンに)
ニーネ「あら!? 相変わらず、繁盛してるわね。」
ボーマン「繁盛しているのはいいんだが、このままじゃあ俺のやることが無くなっちまうよ。」
(ノエルが次の患者に回復の呪文を唱えている)
◆リンガ(Jean Medicine Home)
(ボーマンとニーネが店番をしている所にチサトが急いで入ってくる)
チサト「はい! 『クラリセージ』に『ディルウィップ』それと『アルテミスリーフ』と『アセラス』ね。
チサト「それぞれ、10個づつ取ってきたわよ。」
(机の上に山盛りの薬草を乗せる)
ボーマン「あ…ああ、すまんな。」
チサト「それじゃあ、次は『メトークス』を拾いにラスガス山脈まで行って来るわね。」
チサト「1ヶ月もしたら帰ってくると思うから、じゃあね〜っ♪」
ボーマン「おい!? ちょっと待てっ!」
(チサト走って出て行く)
ボーマン「行っちまった… ここからラスガスまで、いったいどのくらいあると思ってるんだ?」
ニーネ「新しく雇ったあの人、すごく熱心に働いてくるわね。お給料もふんぱつしてあげないと。」
ボーマン「熱心なんてもんじゃない。ある意味、病気だよ。あれは・・・。」
◆リンガ(プリシス家のラボ)
(忙しそうに機械をいじっているプリシス)
クラフト「おい、プリシス。そろそろ、お茶にでもするか?」
(クラフトが奥から出てくる)
プリシス「ん〜…そうだね。あと少しでキリがつくから、もうちょっと待ってよ。」
クラフト「しかし…お前も全然変わってないな。
プリシス「ほえっ!?」
クラフト「仮にも宇宙を救うような冒険をしてきたんだろ。
クラフト「なんて言うか、もう少し威厳とかが出てきてもいいんじゃないか?」
プリシス「んなこと言ったってしょうがないじゃん。
プリシス「あたしだって、たかだか数ヶ月かそこらの冒険で変わっちゃうほど、
プリシス「主体性のない人生を送ってきたつもりじゃ〜ないんだからさぁ」
プリシス「そんなことより、お茶にしよっ。お茶に、ねっ♪」
(プリシス奥へ消える)
クラフト「ふう… どんな冒険を送ってきたとしても、あいつは、あいつのままだってことか・・・。」
◆リンガ(キースの家の前)
(二人が新たなマシンの実験をしている)
プリシス「よ〜し。これで完成だねっ。
レオン「理論上はだけどね。実験をしてみないと、さすがに何とも言えないよ。」
プリシス「だ〜いじょうぶだってば。あたし達が作った機械なんだよ。失敗なんてするわけないじゃん。」
レオン「でも、紋章力と機械の力の合成だなんて、何が起こるか分からないだろ?」
プリシス「む〜っ!心配性だなぁ、レオンは。」
レオン「プリシスの方が能天気すぎるんだよ。」
レオン「ええっ!?」 プリシス「ほえっ?」
(マシン暴走)
レオン「うわあぁぁっ!」 プリシス「ふえぇっ!?わたっわたたた・・・。」
(二人逃げる。マシンさらに暴走)
◆リンガ(プリシスの家)
(ディアスとクラフトがこたつに座っている。そこへプリシスが帰ってくる)
プリシス「何してんの? 二人して、置物みたいに黙っちゃってさ。」
クラフト「間が…もたん・・・。」
◆リンガ(プリシスの家)
(プリシスが慌ただしく降りてくる)
プリシス「じゃ親父、あたし、ちょっちデートして来るから。」
クラフト「ん!? ああ、分かった。そんで、どこに行くつもりなんだ?」
プリシス「んっとねぇ。今日は、テトラジェネスまで行ってくるよ。」
クラフト「テトラジェネス? 聞いたことがないな。遠いのか?」
プリシス「大丈夫。夜になったら、こっからでも見えるからさ。」
プリシス「そんじゃぁ、行って来んね。」
(エルネストが入ってくる)
エルネスト「そろそろ行くぞ。」
プリシス「あーっ。ゴメンゴメン。そんじゃあ、早く行こっ。」
(二人家を出て行く)
クラフト「夜になったら見えるって、どういうこった?」
◆紋章の森(小屋の前)
(ノエルとプリシスが動物を侍らせている)
ノエル「いい日差しですね。」
プリシス「ぽかぽかしてて、気持ちいいよね。」
ノエル「本当に… 何だか眠たくなってきましたよ。」
プリシス「あっちで、ねよっと。」
(プリシス移動する)
ノエル「あ、待って下さいよ。」
(プリシスの後を追う)
◆リンガ(プリシスの家)
(くつろぎの間では、父がテレビを見ている)
(チサトが入口から走って入ってくる)
チサト「お邪魔しま すっ!」
(チサト。そのままエレベータに乗る)
チサト「プリシスっ! 大ニュース、大ニュースよ!
チサト「クロス大陸の西の砂漠に、謎の物体が落下したんですって。」
(二人そろってエレベータから降りてきて、走って出て行く)
(プリシス途中で立ち止まり)
プリシス「んでんで、どこに行くんだっけ。」
(チサト。振り返り)
チサト「ラスガス山脈の西にある砂漠よ。急がないと先をこされちゃうわ。」
(チサト。また走り出す)
チサト「お邪魔しました〜っ!」
(チサト。家を出る)
プリシス「あ〜っ! 待ってってばさぁ。」
プリシス「ほんじゃあ、ちょっちクロス大陸の方まで行ってくんね。
プリシス「一ヶ月くらいで戻ると思うから、心配しないで。」
(プリシスも外へ)
(クラフト。プリシスが家を出て行くのを見送り)
クラフト「あいつに友達が、出来たのはいいんだが… えらく騒がしくなったなぁ・・・。」
◆ラクール(広場)
(子供たち二人と遊んでいるレオン。そこにマードックとフロリスがあらわれる)
フロリス「ご飯の時間ですよ!」
レオン「うん、わかった。」
(フロリスに駆け寄るレオン)
レオン「じゃあ、また後でね。」
男の子「うん。」 女の子「おひるをすぎたら、またあそぼうね。」
フロリス「何していたの?」
レオン「かくれんぼとか鬼ごっことかをしていたんだ。」
フロリス「そう、良かったわね。
レオン「それじゃあ、ボク先に帰ってるね!
(城の方へ帰るレオン)
マードック「レオンは、ずいぶんと明るくなったな。」
フロリス「そうですね。前よりも、ずいぶんと笑うようになりましたよ。」
マードック「どうやら私は、レオンの育て方を間違っていたようだな。」
フロリス「あのぐらいの年頃の子供は汚れて、怪我をして、そして元気に駆け回っているのが一番なんですね。」
◆惑星ミロキニア
(エルネストとレオン、作業員三人が遺跡を発見する)
レオン「ふ〜ん。どうやら、この奥が祭壇みたいだね。」
エルネスト「そうだな。しかし、まさかこんな辺境の惑星に、これほど大規模な遺跡があるとは思わなかった。」
エルネスト「どうする? 遺跡の位置も確認したことだし、ひとまず帰って報告に戻るか?」
レオン「ボクがなんて言ったって、どうせ奥に行くつもりなんでしょ?」
レオン「だったら、聞くだけ無駄だと思うけど?」
(作業員二人と奥に入っていくレオン)
エルネスト「違いない・・・。」
(エルネストと残りの作業員が奥へと入っていく)
◆紋章の森(小屋の前)
(動物と一緒に戯れるレオン。そこへノエルがやってくる)
ノエル「あれっ!? どうしたんです、こんな所に?」
レオン「それはこっちのセリフだよ。
レオン「せっかくボクが、ラクール生物研究室の最高責任者に推薦してあげたっていうのに、
レオン「それを蹴って、なにやってんのさ。」
ノエル「はは…すみませんね。心遣いは有り難かったんですけど、一人で気楽にやる方が好きなもので」
レオン「ちぇっ!わざわざ、王様にまで頼んだっていうのさ。」
ノエル「ははは・・・。」
ノエル「レオンこそ、こんな所に来ていていいんですか。仕事が忙しいんでしょう。」
レオン「その事なら問題はないよ。辞めてきたから。」
ノエル「えっ!?」
レオン「この前の旅でわかったんだ。ボクが一生懸命作っていたのは、しょせん人を傷つけるための道具なんだって・・・。」
レオン「だから、もうやめにしたんだ。」
レオン「ねえ。もしよかったら、ここで働かせてくれないかな? ノエルさんと、一緒にさ。」
ノエル「思ってるよりも、ずっと厳しい仕事ですよ。それでも構わないんですか?」
レオン「うん!大丈夫だよ。」
ノエル「そうですか。それじゃあ、二人でがんばってみましょうか。」
◆ラクール(レオンの研究所)
(レオンとチサトが二人でいる)
チサト「ちょっと!それって、ネーデの紋章の刻み方でしょ。ネーデで得た知識を使ったら、ダメだってば。」
レオン「え〜っ。これくらいなら、いいじゃんか。別に問題があるわけじゃないんだからさぁ。」
チサト「ダメ〜っ! キチンと直しなさい。」
レオン「ちぇっ!ケチ・・・。」
チサト「ケチじゃないわよ! 前にも説明したでしょう・・・。」
レオン「分かってるよ。エクスペルよりも、はるかに進んでいるネーデの知識を使ったら、
レオン「この星の軍事バランスがメチャクチャになるって言うんでしょ。」
チサト「そこまで分かっているのなら、どうしてやるのよ。」
レオン「別にいいじゃん。このくらいだったら・・・。」
チサト「ダメったら、ダメっ! どんなに小さな事でも、例外は認めないからね。」
レオン「う〜っ。このままじゃあ、次の学会に間に合わないよぉ・・・。」
◆神護の森
(セシルに花束を供える。)
ディアス「しばらく来てやれなくて、すまなかった。色々あってな・・・。」
ディアス「見てたか、セシル? まさかこの俺が、宇宙を救うことになるなんてな・・・。
ディアス「何から話そうか… 久しぶりだから、つもる話が多くてな・・・。」
◆ラクール(酒場:ラクールオブラクール)
ディアス「それで…今回は何の用だ?」
エルネスト「この前、とある星に、未知の文明の遺跡が眠っているのを発見したんだ。
エルネスト「ところが、その星には狂暴な野生生物が多く棲息していてな・・・。」
ディアス「早い話、腕の立つ護衛が必要ということか。」
エルネスト「まあ、そういう事だ。」
ディアス「分かった。」
エルネスト「すまんな。お前以外の人間を雇っても、足手まといになるだけなんでな。」
ディアス「気にすることはない。俺はただ、依頼された仕事を受けただけだ。」
◆クリク(宿屋:ウォーターフロント)
(ベッドでノエルが寝ているのをディアスが見ている)
ディアス「そろそろ、次の町へ行くか?」
ディアス「おい、起きろ!」
(ノエルをしばく)
ノエル「わっ、わわわわわ! な、なにが起きたんですかぁ?」
ディアス「もう朝だ。行くぞ。」
ノエル「ふわぁ〜。わかりましたぁ・・・。」
ディアス「まったく。毎日毎日、よくそんなに眠れるな…。一日の半分は寝てるぞ。」
ノエル「そんなことを言っても、眠いんですからしょうがないでしょう。ムニャムニャ・・・。」
(ノエルまた眠る)
ディアス「お前と旅をするようになってから、旅の速度が半分に落ちたんだぞ・・・。」
ディアス「言ってるそばから寝るなっ!」
(ディアスさらに攻撃)
ノエル「わっ、あわわわわ。」
ノエル「ふにゃぁ〜っ。分かりましたよぉ。いま起きますから。」
ディアス「お前… 本当に猫なんじゃないのか?」
ノエル「え〜っ!い、いくら何でもそれはヒドいですよぉ!?」
ディアス「俺には、そうとしか思えん・・・。」
(ノエルまたまた眠る)
(ディアス。ノエルをベッドからぶっとばす!)
◆神護の森
(ディアスとチサトが花を添えている)
ディアス「しばらく来てやれなくて、すまなかったな・・・。」
チサト「初めまして。チサト・マディソンと申します。ふつつか者ですが、よろしくお願いしますね。」
チサト「義父様、義母様…それから、セシルちゃん。お兄さんのことは、この私に任せてちょうだいね。」
ディアス「フン!」
(そっぽを向くディアス)
チサト「あらら…ディアスったら、ガラにもなくテレちゃってます。」
ディアス「そろそろ行くぞ!」
(ディアス行ってしまう)
チサト「あ〜っ!?待ってよぉ!」
(チサト追っかける)
(ディアス立ち止まり)
ディアス「早くしろ。」
(チサト追いつく)
ディアス「また、一ヶ月後に来る・・・。」
(二人、時間差で墓標の方へ振り返る。そして、帰っていく)
◆惑星ミロキニア
(エルネストと作業員四人が遺跡を発見する)
作業員「どうやら、この奥が祭壇みたいですね。」
エルネスト「ああ、そうらしいな。しかし、まさかこんな辺境の惑星に、これほど大規模な遺跡があるとは思わなかった。」
作業員「どうします? 一回帰って、報告に戻りますか?」
エルネスト「冗談だろう? これだけの物を目の前にして、そのまま帰れるかって。」
(エルネスト遺跡の奥へ)
エルネスト「何やってる、行くぞ!」
作業員「はいっ! すぐに行きますっ!」
(クロードの触ったコントロールパネルを指差し)
エルネスト「おっと! そこの色の違う石にはさわるなよ。恐らく、何らかの罠が作動するはずだからな。」
(全員奥へと進む)
◆どこかの星のドック
(二人が船から降りで来る)
ノエル「ふわぁ。いつ来ても、すごい所ですねぇ。」
エルネスト「そうか? オレにとっては、星々の大地に眠る古代遺跡の方が数倍魅力的だがな。」
ノエル「う〜ん。確かに、そうかも知れませんけどね。」
エルネスト「自分達以外の、あらゆる生き物の存在を拒絶する機械文明。これが、俺達、外の人間が辿り着いた結論だよ。」
(二人桟橋を歩き出す)
ノエル「今回の学会に呼ばれたのは、エルネストさんの研究が認められたからですよねぇ。」
ノエル「なのに、何でそんなに不機嫌なんですか?」
(桟橋の終了間際で立ち止まり)
エルネスト「学会の奴等は、机の前で口先を動かすことだけしかしないからな。」
エルネスト「そんな奴等に認められても、嬉しくもなんともないさ。」
エルネスト「本当なら、こんな所には来たくもなかったんだがな。」
(また歩き出す二人)
◆惑星ミロキニア
(エルネストと作業員三人さらにチサトが遺跡を調査)
チサト「どうやら、この奥が祭壇みたいね。」
エルネスト「そうみたいだな。しかし、まさかこんな辺境の惑星に、
エルネスト「これほど大規模な遺跡があるとは思わなかったな。」
(チサト遺跡に走り込む)
チサト「えへへへっ。一番乗り〜っ!」
エルネスト「何やってる!?危ないぞ!」
チサト「だーいじょうぶよ。平気、平気っ!」
(奥からレーザーが発射され、寸前でチサト避ける)
チサト「うわ! うわちゃちゃちゃちゃ!」
エルネスト「チサトーっ!!」
(エルネストと作業員の一人が駆け寄る)
チサト「あーっ、ビックリした。死ぬかと思ったわ・・・。」
エルネスト「まったく。心配させないでくれ。気を付けるように言っただろう。」
チサト「てへへっ…ゴメン。もうしないから。そんな怒んないでよ。」
(動かなかった作業員同士が話す)
作業員A「たしか前の発掘作業の時も、あんな事を言ってなかったか?」
作業員B「ああ…いつもの事だよ。
作業員B「あそこまでいくと、ある意味、ウチの発掘チームの名物だよな。」
作業員A「しかしホントに、毎回毎回、良く生きてると思うよ。」
作業員B「運がいいってだけじゃ片づけられんな。」
(作業員二人に向かって)
エルネスト「おい! 何をしている、早くこっちに来い。」
作業員A・B「は、はいっ!すぐに行きますっ!」
(作業員二人ダッシュでエルネストのもとへ)
◆紋章の森(小屋の前)
(動物と一緒に戯れるノエル)
ノエル「あの旅を終えてから、もうずいぶんと経つんだなぁ・・・。」
ノエル「懐かしいな。みんなは、どうしてるかな?」
犬「クーン、クゥーン。」
ノエル「そうか、僕を慰めてくれるのか。ありがとうな。」
◆紋章の森(小屋の前)
(動物と一緒に戯れるノエルとチサト)
ノエル「何だか、生き残っちゃいましたね。」
チサト「ええ。私たちだけがね・・・。」
ノエル「レナさんを含めたとしても、ネーデ人の生き残りは、もう三人だけになってしまったんですね。」
チサト「そうね…新しい暮らしも悪くないけど、やっぱり、時々ネーデでの暮らしが懐かしくなるわね。」
(ノエル、しょんぼりと)
ノエル「こんな事なら、僕もみんなと一緒に逝けばよかったかな?」
チサト「なにを言ってるのよ。ナール市長と約束したじゃない。みんなの分も、生きていくって… その約束を忘れたの?」
ノエル「覚えてますよ。忘れるワケがないじゃないですか。」
チサト「だったら、そんな弱気なことでどうするのよ?」
チサト「過去のことは、思い出の中にしまっておきましょうよ。時々取り出してあげれば、それでいいのよ。」
チサト「それよりも、私たちは前を向いて歩きましょう。」
ノエル「そうですね… ありがとうございます、チサトさん。なんか、元気が出てきたような気がしますよ。」
チサト「よしっ、それでいいのよ。数少ないネーデ人の生き残りとして、胸を張って生きていきましょうね!」
◆ハーリー(港口)
(桟橋からわたってくるチサト)
チサト「ふう…退屈。」
チサト「みんなは、元気でやってるのかな?」
チサト「いけない、いけない。過去を懐かしんでいてもしょうがないわね。」
チサト「これから、どうするのかを考えないと。」
◆アーリア(村はずれ)
(うろうろしているクロード)
クロード「みんな遅いな。まさか、日付を間違えたなんて事はないよな。」
クロード「いいんだよな。確かに今日のハズなんだけど・・・。」
(レナたちが歩いてくる)
クロード「みんな遅いよ。完全に遅刻だぞ。」
レナ「ゴメンね、クロード。先にみんなと会ったら、思わず話が弾んじゃって・・・。」
クロード「おいおい、僕だけが仲間外れかい? ひどいなぁ。
レナ「でも…考えてみたらこうしてみんなで集まるのも久しぶりね。」
クロード「本当だね。とにかくみんな元気そうでなによりだよ。」
レナ「はやく私の家に行きましょ。話したいことがたくさんあるでしょうから。」
(みんな。歩いていく)
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